令和8年7月1日以降の申請から、経営事項審査(経審)に新しい加点項目「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」が加わりました。宣言を行っている企業は最大5点が加点される、点数アップにつながる注目の改正です。この記事では、制度の狙いから、加点を受けるための具体的な要件、宣言の手続き、そしてあわせて配点が見直されたCCUS関連項目まで、大阪府の経審を専門とする行政書士法人が解説します。
新設された加点項目の内容——最大5点
経審のその他社会性(W点)に、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無という項目(項番52)が新設されました。宣言を行っている場合、5点が加点されます。
この項目が設けられた背景には、第三次・担い手3法の全面施行があります。建設業で働く技能者の処遇改善の原資となる労務費の確保や、CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用を積極的に進める企業を評価しよう、という国の方針を反映したものです。担い手の育成・確保という、建設業界全体の課題に取り組む企業を後押しする狙いがあります。
加点を受けるための3つの要件
加点対象となるには、次の要件を満たす必要があります。
第一に、審査基準日が宣言日以降であること。宣言を行う前の審査基準日では加点対象になりません。第二に、申請時に「様式第7号(『建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度』に関する誓約書)」と、自主宣言制度で宣言していることを証する書面(宣言書)の写しを提出すること。第三に、宣言した取組について、取組開始日以降に「行う」または「行っている」旨の誓約があることです。前提として、自主宣言制度のポータルサイトで宣言企業として掲載されている必要があります。
取組開始日と審査基準日の関係に注意
実務でつまずきやすいのが、取組開始日と審査基準日の前後関係による、誓約書の記載方法の違いです。
審査基準日が宣言日以降かつ取組開始日より前の場合は、「取組開始日以降に取組を行う」旨を様式第7号に記載すれば加点対象になります。たとえば、審査基準日が令和8年3月31日、宣言日が令和8年3月1日、取組開始日が令和8年4月1日というケースでは、様式第7号に「取組開始日以降に取組を行う」旨が記載されていれば加点されます。
一方、審査基準日が宣言日以降かつ取組開始日以降の場合は、「取組開始日以降に取組を行っている」旨を記載します。審査基準日が令和8年3月31日、宣言日が令和8年3月1日、取組開始日が令和8年3月30日というケースでは、「取組開始日以降に取組を行っている」旨が記載されていれば加点対象です。日付の前後で記載する文言が変わるため、誓約書の作成には注意が必要です。
あわせて配点が見直された「就業履歴の蓄積措置」
今回の新設とセットで押さえておきたいのが、従来からある「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」(項番51)の配点見直しです。
この項目は、民間工事を含む全ての建設工事で措置を実施した場合が15点から10点へ、全ての公共工事で実施した場合が10点から5点へと、それぞれ引き下げられました。つまり、CCUS関連の加点全体が再編されたということです。就業履歴の蓄積措置で満点を得ていた企業は、単純計算で5点分の配点が下がったことになりますが、今回新設された自主宣言の5点を取りにいくことで、全体としての点数を組み立て直すことができます。
具体例で見る点数への影響
これまで就業履歴の蓄積措置(全ての建設工事で実施)で15点を得ていたB社の場合を考えてみます。改正後、この項目は10点に下がります。しかし、B社が新たに自主宣言制度で宣言を行い、様式第7号と宣言書の写しを揃えて加点要件を満たせば、自主宣言で5点が加算されます。結果として、就業履歴10点+自主宣言5点で、改正前の15点と同水準を確保できる計算です。CCUSの活用を進めてきた企業ほど、自主宣言による加点を取りにいく意義が大きいといえます。
よくあるご質問(Q&A)
- 宣言はどこで行うのですか?
「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」のポータルサイトで宣言を行い、宣言企業として掲載される必要があります。宣言書を取得したうえで、経審申請時に様式第7号とあわせて写しを提出します。
- すでにCCUSを導入していれば自動的に加点されますか?
いいえ。CCUSの導入と自主宣言は別の項目です。就業履歴の蓄積措置(項番51)とは要件が異なりますので、自主宣言による5点加点を受けるには、宣言と誓約書の提出という手続きが別途必要です。
- 宣言日が審査基準日より後になってしまうと加点されませんか?
加点されません。審査基準日が宣言日以降であることが要件ですので、加点を狙う場合は、審査基準日より前に宣言を済ませておくスケジュール管理が重要です。
- 様式第7号の記載を間違えると加点されないのですか?
取組開始日と審査基準日の前後関係に応じて「行う」「行っている」の記載を正しく選ぶ必要があります。記載が要件に合っていないと加点対象とならないおそれがあるため、作成時は慎重な確認が必要です。


