建設業界において、公共工事への参入や取引先からの信頼維持に欠かせない「経営事項審査(経審)」。しかし、単に書類を提出するだけの手続きに留まっている企業も少なくありません。今回は、大阪・長堀橋に拠点を構え、建設業許可のエキスパートとして数多くの企業を支える行政書士法人Jグロースの松下淳一氏に、点数アップの戦略から、税理士との連携、そして専門家選びのポイントまで詳しく伺いました。
公共工事参入だけではない、経審を「受ける理由」の変化
──松下さんのもとには、どのようなお悩みを持つ建設業者様が相談に来られるのでしょうか。やはり「公共工事の入札に参加したい」という方がメインですか?
松下:もちろん入札目的の方も多いですが、最近増えているのは「取引先から求められて」というパターンですね。自社から積極的に入札へ行くわけではないけれど、元請けさんから『指名願いは出している?』『経審の結果を見せて』と言われて、慌てて受審を検討されるケースです。この場合、点数そのものよりも、まずは「受けていること」というステータスが重要になります。
──なるほど。入札だけでなく、民間取引の信頼の証としても機能しているのですね。
松下:そうなんです。一方で、すでに公共工事をやっている会社さんからは『今の行政書士さんとは、事務的なやり取りだけで未来の話ができない』という不満からご相談をいただくこともあります。「会社に合った規模の工事をどう取っていくか」といった攻めの相談を求めておられるわけです。
「決算前」が勝負。税理士とも連携する踏み込んだサポート
──初めて経審に挑む方は、何がきっかけで松下さんのことを知るのでしょうか?
松下:顧問税理士さんからのご紹介が多いですね。顧客である建設業者さんが経審を受けようというタイミングで、専門家として繋いでいただきます。ここで重要なのは、経審は「決算が終わってから」では遅いということです。
──「決算が終わってからでは遅い」とは、具体的にどういうことでしょうか?
松下:経審の総合評定値(P点)を調整したい場合、決算が出る前に数字をどう整えるかが鍵になります。多くの行政書士は決算後に動きますが、私たちは必要であれば決算前に顧問税理士さんと打ち合わせを行います。数字を作るプロである税理士さんと、点数を算出するプロである私たちが連携することで、最適な着地を目指せるのです。
──そこまで踏み込んでくれる行政書士さんは、確かに少ないかもしれません。
松下:そうかもしれませんね。税理士さん経由でない場合でも、必ず一度は税理士さんにご挨拶を入れます。後日、必要書類をお願いする際にもスムーズに連携できるようにしておくためです。私たちは、ただの書類作成屋ではなく、お客様のチームの一員でありたいと考えています。
過去の書類から見極める「点数アップ」の可能性
──「以前のやり方を変えたい」と、事務所を乗り換えるお客様もいらっしゃいますか?
松下:はい。過去の経審の結果を拝見すると『ここでこうしていれば、もっと点数が伸びたはずなのに』というケースが多々あります。その場合は、2年平均・3年平均といった長期スパンで計算をやり直し、『今後はこう進めましょう』とコンサルティングを行います。場合によっては、過去の決算変更届(※建設業者が毎年行政に提出する事業報告)の訂正から着手することもありますよ。
──「決算変更届」の訂正からですか。それはかなり骨の折れる作業になりそうですね。
松下:大変ですが、建設業法というルールにしっかり合わせていくことが、結果として強い経営基盤を作ることになります。今の行政書士さんと迷われているなら、まずは過去3期分の書類をお持ちください。それがあれば、私たちがシミュレーションを行い、どのように変わるか具体的にご提案できます。
──経審に強い行政書士かどうかを見分ける、何か良い質問はありますか?
松下:「P点の検証はどこから見ればいいですか?」と聞いてみてください。特に『W点(社会性等)』などは即効性がある項目です。点数を上げる方法について、即効性があるものと数年かかるものを明確に切り分けて説明できるかどうか。そこが経験の差が出るポイントだと思います。
「自分が社長だったら」という視点、法人ならではの安心感
──松下さんの事務所は「行政書士法人」として組織化されていますが、組織ならではの強みはありますか?
松下:個人事務所と違い、複数のスタッフで対応しますので、手続きが停滞するリスクが極めて低いです。また、建設業以外の許認可ノウハウも蓄積されているため、幅広い視点でアドバイスが可能です。事務所は長堀橋駅の出口すぐという好立地ですので、お越しいただきやすいですし、事前にご予約いただければ土日の対応も行っています。
──アクセスの良さは、忙しい経営者にとって助かります。仕事をする上で大切にされているモットーはありますか?
松下:スタッフには「自分軸ではなくお客様軸で考えて」と伝えています。私自身、打ち合わせでは『もし私がこの会社の社長だったらどうするか』というところまで踏み込んでお話しします。だからこそ、終わった後に『すっきりした!』と言っていただけるのが一番嬉しいですね。
制度に縛られず、制度を使いこなすために
──最後に、これから経審を考えている方へメッセージをお願いします。
松下:私たちの法人名「Jグロース」のJは、Japan(日本)のJです。日本の成長のため、社会インフラを担う企業さんに伴走します、制度に縛られるのではなく制度を活用していきましょう。うまく使っていきましょう。そこに僕たちの価値があると思っています。


