令和8年7月1日以降の経営事項審査(経審)の申請から、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況に関する評価項目が削除されました。これまで社会性等の評価項目に設けられていた、未加入による各40点、合計最大120点の減点が廃止され、申請時の確認書類も見直されています。この記事では、改正内容と申請書類への影響、そして「社会保険に加入しなくてよくなった」という誤解への注意点を、大阪府の経審を専門とする行政書士法人がわかりやすく解説します。
改正の内容——W1-1〜W1-3の3項目が削除
経審の社会性等の評価では、これまで雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況が、それぞれ独立した減点項目として設けられていました。未加入の場合は各40点、3項目で最大120点が評価項目の合計点から減点され、その結果がW評点と総合評定値(P点)に反映される仕組みでした。P点から直接120点を差し引くわけではありません。
令和8年7月1日以降の申請では、この3項目が削除されます。適用の判断は審査基準日ではなく申請日によるため、決算日が同日より前であっても、改正後の基準が適用されます。
なぜ廃止されたのか——許可要件との重複確認を見直し
令和2年10月1日から、適切な社会保険への加入が建設業許可の要件に追加されました。加入義務がある事業者は必要な保険に加入し、適用除外となる場合はその状況を確認する仕組みです。
建設業許可の有効期間は5年間であるため、令和7年10月1日以降は、許可を保有する建設業者について、この要件に基づく確認が行われていることになります。
このため、経審でも改めて社会保険への加入状況を確認する必要性が乏しいことから、申請事務の効率化も踏まえて評価項目が削除されました。
実務への影響——申請書類の負担が軽くなります
今回削除された3項目の審査に用いていた、社会保険加入状況の確認書類が不要となり、申請時の書類準備の負担が軽減されます。
ただし、社会保険関係の資料がすべての手続きで不要になるわけではありません。建設業許可や経審の他の審査項目で必要となる資料は、改正後の大阪府の手引きに沿って確認する必要があります。
また、すでに必要な社会保険に加入し、この項目で減点を受けていなかった企業は、項目の削除だけで評点が上がるわけではありません。評点の改善を検討する場合は、建退共、退職金制度、法定外労災制度、CCUSの活用など、他の評価項目について自社の取組と加点要件を確認しましょう。
具体例で見る影響
たとえば、必要な社会保険に加入し、改正前もこの項目で減点を受けていなかったA社の場合、項目の削除だけで評点が上がるわけではありません。主な変化は、この項目に関する確認書類の準備が不要になることです。
一方、加入義務があるにもかかわらず未加入となっている場合は、経審の減点項目が廃止されても、加入に向けた対応が必要です。今回の改正によって、社会保険の加入義務や建設業許可の要件がなくなるわけではありません。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 社会保険に加入しなくてもよくなったのですか?
いいえ。今回削除されたのは、経審における社会保険加入状況の評価項目です。加入義務がある事業者は、引き続き必要な社会保険に加入しなければなりません。適切な社会保険への加入は建設業許可の要件でもあり、適用除外となる場合を除き、加入への対応が必要です。
Q. すでに社会保険に加入している場合、今回の改正で経審の点数は上がりますか?
必要な社会保険に加入し、改正前もこの項目で減点を受けていなかった場合は、項目の削除だけで点数が上がるわけではありません。なお、令和8年7月改正には他の評価項目の見直しもあるため、経審全体の点数への影響は別途確認が必要です。
Q. いつ受審する経審から適用されますか?
令和8年7月1日以降の申請から適用されます。審査基準日が同日より前であっても、申請日によって改正後の基準が適用されます。
Q. 申請書類は具体的に何が減りますか?
今回削除された3項目の審査に用いていた、社会保険加入状況の確認書類が不要となります。他の審査項目で必要となる資料は、改正後の大阪府の手引きに沿ってご確認ください。
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